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CHAPTER 01

Javaとは何か

「Javaで作られています」の一言から、何が想像できればよいのか。Javaがいつ生まれ、どこで使われ、なぜ30年近く企業システムの定番であり続けているのかを押さえます。

読む目安:約15分歴史と、どこで使われているか

この章でわかること

  1. Javaが「プログラミング言語」であり、同時に「動かすための基盤」でもあることを説明できる
  2. Javaが使われている代表的な場所(業務システム・金融・Android など)を3つ挙げられる
  3. 企業がJavaを選び続ける理由を、自分の言葉で言える

「Javaで作られています」と言われたら

システムの説明を受けているとき、「このシステムはJavaで作られています」と言われることがあります。多くの非エンジニアの方にとって、これは「英語で書かれた本です」と言われるのと同じくらいの情報量しかありません。何かの言語らしい、ということは分かる。でも、その言語で書かれているとどうなるのか、他の言語とどう違うのかは分からない。

この教材のゴールは、この一言から次のようなことが頭に浮かぶ状態になることです。

  • 人が書いた「設計図(ソースコード)」を、JVMという通訳役が実行している(第2章)
  • プログラムは「クラス」という単位で整理されていて、画面に出てきたらだいたい読める(第3〜6章)
  • Springというよく使われる部品セットがあって、たぶんそれも使っている(第7章)
  • 「バージョンを上げる必要がある」と言われたら、こういう事情がある(第7〜8章)

まずこの章では、Javaという存在の「立ち位置」をつかみましょう。

Javaとは何か:ひとことで言うと

Javaは、1995年に米国のサン・マイクロシステムズ社が公開したプログラミング言語です。生みの親はジェームズ・ゴスリンという技術者で、サン社は2010年にオラクル社に買収されたため、現在はオラクル社が中心となって開発を続けています。

ただし、Javaという言葉は実は2つの意味で使われます。ここを最初に区別しておくと、後の章がぐっと分かりやすくなります。

① プログラミング言語としてのJava

人が「こう動いてほしい」を書くための文法・ルール例:if(もし〜なら)、class(部品の設計図)
英語やフランス語のような「言語」の側面

② 実行基盤としてのJava(Javaプラットフォーム)

書かれたプログラムを実際に動かす仕組みJVM(第2章で学びます)と、便利な部品の集まり
OSやハードの違いを吸収してくれる「土台」の側面
ポイント:「Javaで書く」と言えば①のこと、「Javaで動いている」「Javaを入れる」と言えば②のことを指しています。たとえば「サーバーにJavaが入っていない」という会話は、②の基盤の話です。

Javaはどこで使われているのか

Javaは「見えないところ」で大量に使われている言語です。スマートフォンの画面や、おしゃれなWebサイトの見た目を作る言語ではなく、その裏側で、たくさんのデータを間違いなく、長期間、安定して処理するところで力を発揮します。

分野具体例なぜJavaが選ばれやすいか
企業の業務システム会計システム、人事給与、販売管理、在庫管理、社内ポータル大人数で長期間開発・保守することに向いている。技術者の数が多い
金融機関のシステム銀行の勘定系・情報系、証券取引、保険の契約管理安定性と実績。障害時の情報やノウハウが豊富で、監査にも説明しやすい
Androidアプリスマートフォン向けアプリ(近年はKotlinという兄弟言語も併用)Android自体がJavaの技術を土台に設計された
大規模Webサービスの裏側ECサイトの注文処理、予約システム、決済基盤多数のアクセスをさばく性能と、部品の豊富さ
データ処理基盤大量データの集計・分析を行う仕組み(Hadoop、Kafka など)多くの基盤ソフトそのものがJavaで書かれている

経理・管理部門から見ると

会計システムやERP(基幹業務システム)の多くは、Javaまたは同じ系統の技術で作られています。経費精算のWeb画面、仕訳データを取り込むバッチ処理、月次の締め処理などは、Javaが得意とする「決まった手順を正確に繰り返す」仕事そのものです。

なぜ30年近く使われ続けているのか

プログラミング言語は流行り廃りが激しく、10年で主役が入れ替わることも珍しくありません。その中でJavaが1995年の登場以来、企業システムの定番であり続けているのには理由があります。

理由1:どこでも動く(第2章で詳しく)

Javaのプログラムは、Windowsでも、Macでも、Linuxのサーバーでも、同じものがそのまま動きます。「JVM」という通訳役が間に入って、それぞれの環境の違いを吸収してくれるからです。会社のサーバーを入れ替えてもプログラムを書き直さなくてよい、というのは企業にとって大きな安心材料です。

理由2:技術者が多く、情報が多い

世界中に大量のJava技術者がいます。これは「作れる人が見つかる」「辞めた人の後任が見つかる」「困ったときに調べれば答えが出てくる」ということです。10年、20年と使い続けるシステムでは、この「人の確保しやすさ」が言語そのものの性能より重要になることがよくあります。

理由3:後方互換性を大事にしている

Javaは「昔書いたプログラムが、新しいバージョンでもなるべくそのまま動く」ことを重視して開発されてきました。これを後方互換性といいます。言語によっては大きなバージョンアップで古いプログラムが動かなくなることがありますが、Javaはそれを極力避けてきました。だから企業は安心して長期投資ができます。

理由4:部品(ライブラリ)とルールが整っている

データベースへの接続、Web画面の表示、帳票の出力、暗号化など、業務システムで必要になる機能のほとんどは、すでに誰かが「部品」として作って公開しています。特にSpring(スプリング)という部品セットは企業システムの事実上の標準で、これがあるおかげで「ゼロから作る」必要がほとんどありません(第7章)。

どこでも動くサーバーを替えても安心
+
技術者が多い人が確保しやすい
+
後方互換性長期投資ができる
+
部品が豊富Springなど
まとめると:Javaは「最先端でかっこいい」から選ばれているのではなく、10年単位で使うシステムのリスクが小さいから選ばれ続けています。企業の購買判断と似ています。

Javaの弱点・Javaが選ばれない場面

公平のために、Javaが向かない場面も知っておきましょう。打合せで「なぜJavaじゃないのか」と聞かれたときの理解にもつながります。

  • 小さなものを素早く作るには重い。ちょっとした集計スクリプトや試作品には、PythonやJavaScriptのほうが手軽です。Javaは「お作法」が多く、Hello Worldを表示するだけでも5行必要です(第3章)。
  • Webサイトの「見た目」は作れない。ブラウザの中で動く画面の動きはJavaScriptという別の言語の担当です。名前が似ていますが、JavaとJavaScriptは全く別の言語です(下のコラム)。
  • データ分析・AI分野ではPythonが主流。統計や機械学習の部品はPythonに集中しています。
  • メモリを多く使う。JVMという通訳役が間にいる分、小さな機器(組み込み機器など)では敬遠されることがあります。

よくある混同:JavaとJavaScript

名前は似ていますが、JavaとJavaScriptは別の言語です。「インドとインドネシア」くらい別物だ、とよく言われます。JavaScriptは主にWebブラウザの中で動き、画面の動きを作ります。Javaは主にサーバーの中で動き、データ処理を担当します。1995年当時、Javaの人気にあやかってJavaScriptという名前が付けられた、という歴史的な経緯があるだけです。

Javaの歴史をざっくりと

細かい年号を覚える必要はありません。「古いけれど、止まってはいない」という感覚だけ持ってください。

時期できごと意味
1995年サン・マイクロシステムズがJavaを公開「どこでも動く」を掲げて登場
2000年前後企業向けの仕様(J2EE、のちのJava EE)が整備される業務システムの標準に
2010年オラクルがサンを買収以後オラクルが開発を主導
2014年Java 8 公開非常に長く使われ、今も現役のシステムが多い
2018年〜半年ごとに新バージョンを出す方式に変更進化が速くなった。「LTS」という考え方が重要に(第7章)
2021年・2023年・2025年Java 17、21、25(いずれもLTS)公開現在の企業システムの移行先の候補

ここで覚えておきたいのは、Javaは「古い言語」であると同時に、今も半年ごとに進化している現役の言語だということです。だからこそ「どのバージョンを使うか」「いつ上げるか」が現場の論点になります。これは第7章で詳しく扱います。

この章のまとめ

  • Javaは1995年生まれのプログラミング言語。「言語」と「実行基盤」の2つの意味で使われる
  • 業務システム、金融、Android、大規模Webの裏側など、「見えないところで大量のデータを正確に処理する」場面で使われている
  • 選ばれ続ける理由は、どこでも動く・技術者が多い・後方互換性・部品が豊富。つまり「長期投資のリスクが小さい」から
  • JavaとJavaScriptは別物。小さなものを素早く作るのやデータ分析はPythonなどのほうが向く

確認クイズ

この章の内容を3問で確かめましょう。選ぶとすぐに解説が表示されます。

Q1. Javaが企業の業務システムで長く使われ続けている理由として、適切でないものはどれですか?

Javaはむしろ逆で、古いプログラムをなるべく動かし続ける「後方互換性」を重視してきました。それが長期投資のしやすさにつながっています。

Q2. 「このサーバーにはJavaが入っていません」という会話での「Java」は、主にどちらの意味ですか?

「入っている/入っていない」と言えるのは、JVMなどの実行基盤のほうです。文法そのものをサーバーに「入れる」ことはできません。

Q3. JavaとJavaScriptの関係として正しいものはどれですか?

両者は別の言語です。JavaScriptは主にブラウザの中で画面の動きを担当し、Javaは主にサーバー側でデータ処理を担当します。

読み終えたら、読了にしておきましょう。トップページのカリキュラムに記録が付きます(このブラウザ内だけに保存されます)。